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この儚くも哀しき世界の中で・・・・・ [ファンタジー]

久々の「この儚くも哀しき世界の中で・・・・」です!
書き貯めすぎてどこまで載せたのか忘れそうになりましたww

あらすじ
四大名家の総会の中で美桜の行方が分からないまま
会場は混乱へと転じてゆく。
そこに現れた火蓮の影の正体とは————!?

これまでの物語
カテゴリー;小説
第一話



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それは人の形をした、「精霊」だった。
「・・・・神威っ!!」
漆黒の髪と瞳、烏の濡れ羽のような着物を纏う青年「神威」
「主は、私が預かります。まずはこの場を収める事が先決では?」
「頼む」
神威に言われ、一葉はそう言い置いて声を張り上げた。
「しばし、静まれ!これより、この場を一時閉会とする。
文句の在る者、静まらぬ者は前へ出よ!この龍咲一葉が斬る!!!」
しんと、水を打ったように静まる大広間。
すらり。涼やかで、冷たい刀を抜く音が響いた。
水を纏った龍のような長剣「水流(つる)」
前に聖司と斬り合った時とは違う真実(まこと)の剣。
あまりにも美しすぎるその剣に聴衆は後ずさりをしながら、
大広間を後にし、一時解散となった。

神威は、一葉が解散を宣言する前に火蓮と大広間を後にしていた。
「・・・・・・主。目をお開けください」
廊下の隅に火蓮を抱いたまま座り、囁く。
『神威・・・・・・。命令よ、私に魔力を寄越しなさい』
突然、神威の頭の中に声が響いた。
「主の仰せのままに」
そう呟くと、神威は火蓮の唇に自分の唇を重ねた。
覆い被さる形で重なる二人の躯。
高純度の魔力が火蓮の躯に注ぎ込まれてゆく。
まるで、鬼のあやめと美桜が命を繋ぐ為に、血を求め与えるように。
煌めき、儚く散って逝く。でも、決して終わりはしない。
生命は、想いは繋がってゆくから。

やがて、覚醒める火蓮。
「利用してるね。生きて行く為にあなたを」
覚醒めてからの第一声がそれだった。
「僕も、生きて行く為に貴方を利用してしまいましたから」
微笑む神威。
「いつだったかしら?私は貴方に利用された事なんて
覚えてなんかいないわ。むしろそんな事は無かったという方が正しいかもしれない」
「僕のせいで貴方の大事な人が傷ついてしまったのに?」
「あなたのせいで?はっ、笑わせないで。美桜が傷ついたのは全て私の責任よ。
あなたのせいじゃないわ」
加害妄想をするなと、叱りつけられ神威は一瞬目を見開くが
「貴方の精霊として生まれて来られて、本当に良かった」
と再び微笑んだ。

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