SSブログ

僕と月城ルリのstarry night【2】 [小説]

「さてと、仕切り直しと行きますか。じゃ、自己紹介から。
初めまして、なのかは分かんないけどオレは佐津姫鏡夜。
3ーBで専攻クラスは音楽。ってみんな一緒か。
あ、後専攻クラスで組む3年のオケでコンマスやってます。よろしく」
はい次、麻紀よろしく。と話を振る鏡夜。
「こんにちは。同じく3ーBの弓川麻紀です。
専攻クラスのオケでチェロ弾いてます。このバカとは
中等部からずーっと同じクラスです。私のような者が
皆さんとやって行けるか不安ですが、頑張ります」
このバカという所で、鏡夜を指差す。
麻紀はふっと視線を直樹の方に向けた。
その視線に気付き、直樹は慌てて立ち上がる。
「1ーCの黒澤直樹です。趣味はピアノです。
ふつつか者ですがよろしくお願いします」
「ふつつか者って・・・・」
プッと吹き出しそうになるシュンヤ。そして机からとび降りる。
「同じく1ーCの神田シュンヤです。神の田んぼにカタカナでシュンヤです。
8月生まれの獅子座。好きな作曲家はラヴェル、ドビュッシー、
ブラームス、チャイコフスキー、モーツァルト。あと、ラフマのピアコン
(ピアノ協奏曲)二番が好きですね。まぁ基本的に何でも好きです。
俺は楽器とか弾けませんが、直樹が誘ってくれたので参加しました。
みんなで楽しく出来ればいいなーと思います。よろしくですー」
おどけたように敬礼するシュンヤ。
その様子は先程とは打って変わって和やかである。
残るはルリのみとなった。
「1ーCの月城ルリです。アンサンブルは初めてなので・・・・・
いろいろと分からない事も多いですが・・・・・よろしくお願いします」
どうにか、つっかえずに喋る事が出来た。
そのことに安心しながら、ルリはゆっくりと座った。

「じゃあ、まず目的の確認から順番にして行くか。もしかしたら、
今日は顔合わせとミーティングだけで終わりそうだな」
なにげなく鋭い事を口にする鏡夜。
「曲は音楽専攻の奴が作曲した「二台のピアノと弦楽器のためのコンチェルト」
本人は室内楽の曲だと言っていたが、オレが勝手に『コンチェルト』にした!
響きがいいからな、こっちの方が」
それだけの理由かよ!と直樹とシュンヤは心の中で突っ込みを入れる。
「んで、楽譜はちゃんと配ってあるよな?スコアもある....っと。
音源は現在絶賛製作中だそうだ。だが、オレたちが録音したのを
CDとして売るのも良いなぁと今提案している所なので
商売繁盛間違いなし!これは保証するぞ」
好き放題だな・・・・・と二人は同時に思った。
「ちなみにこの曲の副題は、『starry night』だそうだ。
「星月夜(ほしづきよ)」という意味らしい。みんな!
星祭りの夜、オレたちが星にも月にも負けないような
最強の音楽を作り上げよう!・・・・って言う意気込みは必要ない。
あくまでも自分が出来る限りの演奏をして欲しい。
オレからは以上!他になんかあるか?」
「あ、あとそれから個人練習をかかすな。特にピアノは二人で合わせとけ。
次に集まるのが、明々後日だからそれまでに全体の譜読みの
半分は終わらせておいて欲しい」
では、さらばだ!と、さっさとヴァイオリンを片付けて
サロンを疾風のように出て行く鏡夜。
「ゴメンね、あいつ今日は絶対に外せない用事がある!って言って
さっき授業が終わってチューニングして出てきた所なの。
この後はオケの練習始まっちゃうからまた慌ただしくの何のって・・・・
まったく・・・やりたい事は全部やり遂げようとする所全然変わってないわ」
でも、と麻紀は続けた。
「室内楽やれるって聞いて、あいつすごい嬉しそうだった。
あんなに嬉しそうなの久しぶりに見られたな。ありがとね、三人とも」
自分もオケの練習があるからとその場を去る麻紀。
帰り際、麻紀は
「チューニング本当にありがとう。またよろしくね」
とシュンヤに微笑みを向けた。
颯爽と現れ、ふたりは高校三年生と言う風格を纏い、風のように去って行った。
「んじゃ、オレたちはどうすっか?」
シュンヤは機嫌良く二人に尋ねた。
「そうだね・・・・・・僕はもう少し練習したいけど。ルリは?」
直樹に話を振られ、パッと振り向いたルリは、
「わ・・・・・私も練習・・・・しなきゃ」
と焦りながらつぶやく。
「そっかーでもさ、残念な事にオレこれから星祭りの準備あんのよ。
ほんっとーに残念だよ、まったく。だけどオレを恨まないでくれ!
恨むなら、星祭りの実行委員会とか、神様とか適当にその辺の
奴を恨んじゃっていいから!オレが許す!!」
「傲慢だなぁ・・・・・・」
半ば諦めたような口調で直樹が苦笑した。
「そいじゃーなーーーーー!!」
陽気な去り際の一言を残し、走って教室を出て行くシュンヤ。
「みんな・・・・・・いろいろ大変なんだね・・・・。星祭りの準備で。
積極的ですごいなぁ・・・・・。ルリは何か他にやる予定はあるの?」
憧れとも取れる言葉をつぶやき、ルリに目を向ける。
「う、うん・・・・・まだいろいろあって・・・・
決めてないんだけど・・・・。な、直樹くんは決まった?」
「いくつか仕事は貰ってるよ。クラスの出し物とか、こういう
専攻クラス別のオケだとか、室内楽とかさ。あ、後委員会もあったかも」
沢山あって困るなぁと首を傾げる直樹。
「直樹くん・・・大変だね・・・・・。でも・・・・・
体には気をつけて・・・・ね」
不安げな表情を浮かべ、ルリは直樹の顔を見上げた。

nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。